山田歯科医院

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  • 山田剛士 = 文
  • text by Takeshi Yamada

院長・山田雅昭がインプラントをお勧めしない理由

私は以下のような理由からインプラント治療には懐疑的です。
歯科医師の仕事は概ね3つの要素から成り立っています。

・どんな治療が必要か、適切なジャッジ(判断)ができること
・見た目も含めてデザイン(設計)ができること
・実際に機能すること

適切なジャッジができるか、という点については長年住んだ家のメインテナンスのように考えると分かりやすいでしょう。 反対に、適切でないジャッジというのは、簡単なリフォームで間に合うようなケースで 家を丸ごと建て替えなきゃだめですよ、などと勧める悪徳不動産業者みたいなものです。



これはインプラントにしなければ絶対に駄目ですね!

などと発言するドクターには一定の注意が必要です。当然ですが、治療に『絶対』はありません。基本的に治療方針は複数考えられるため、たった1つの選択肢しか提示されなかった場合には説明内容に相応の根拠があるのか多少なりとも疑ってかかると良いと思います。



インプラント=最新治療というイメージがなんとなく世間に定着しているからなのか、 実際にドクターからそのような説明を受けると、本当にインプラント以外の選択肢はないのか と思ってしまいがちですが、内情は案外そうでもありません。



事実、インプラントでしか治せない症例というのはほぼ皆無です

担当のドクターは治療方針をインプラントのみと診断したけれど、別のドクターに聞いたら、そもそもインプラント治療自体が必要ないですねと診断されることも往々にしてあるのです。



では、なぜ歯医者はしきりにインプラント治療を勧めたがるのでしょうか?理由は至極単純です。



単に、その方が儲かるから

セラミック治療だと歯を一本治すと7~20万円程度が相場ですが、インプラントだと総額で1本45万円ぐらいです。激安インプラントなどという広告も見かけますが、まあ安いには安いなりの理由があるのでしょう。



更に言えば、インプラントって、内容を非常に大雑把に書くと、顎の骨にドリルでチュイーンと穴を開けて、その穴に電柱のミニチュア版のようなチタンボルトを埋め込むだけのものですから作業自体はものの20分程度で終了します。



あくまでインプラントを埋めるだけなら研修医や卒後2年や3年の若手ドクターでもできるでしょう。やろうと思えば学生だってできるかもしれません。で、45万円の収入。実にボロい商売です。しかしながら、治療を簡単に行なえることと、その治療後に満足な状態で過ごせるか、つまり予後がよいかどうかとはまったく別次元の問題です。



むしろインプラントは、セラミック等の通常の治療に比べてより精密な咬合管理 を必要としますから、まともな治療技術を要しない未熟なドクターが金銭的インセンティブに従って治療を遂行すると数年でダメになることが多い。



これ、けっこう社会問題化しています。俗に言うインプラントバブル。はじけそうでまだ弾けてない様子。



インプラント推進派は、隣の歯を削ってしまうブリッジや、クラスプという金属製のワイヤーを歯に引っ掛けて固定する入れ歯と違って、インプラントは歯を削らなくて済むから体に優しく、安全な治療ですなどというもっともらしい売り口上を唱えます。

・・・残念ながら大嘘です。



歯を削るよりも、顎の骨にドリルで穴を開ける方がダメージは半端なく大きいです

合わない入れ歯は外せば済みますが、顎の骨に穴を開けたら元に戻すのは困難です

天然の歯にはショックを吸収する膜が備わっていますが、インプラントはただの鉄の棒なので、あらゆる衝撃をモロに受けます。衝撃吸収の機構が異なるため、天然の歯とインプラントは基本的には横に繋げません。そのためインプラントの隣の歯が駄目になった場合、隣の歯は必然的にインプラントになるケースがほとんどです。

上下の歯の組み合わせが片方が天然の歯で、片方がインプラントの場合、これまた強度的な理由から天然の歯が先に駄目になるケースが多く見受けられます。駄目になった箇所を修復する手段は入れ歯以外ではほぼインプラントに限られます。

詰まるところ、インプラントを一本埋めたことによって、その後の治療方針に再度インプラントを選択せざるを得ない状況が増加します。当然治療費もかさみますし、体への負担も大きなものになります。

当院では概ね上記のようなインプラント治療のリスク説明を行なっていますが、この説明を聞いたうえでインプラントを選択された方は未だかつていらっしゃいません。



歯科医院の数がコンビニの数より増えてしまったという飽和状況では、ドル箱のインプラント治療を薦めるのはある意味で仕方のないことなのかもしれませんが、金銭的なインセンティブによって ジャッジを歪めるのは非常に問題アリだと私は常々思っています。



逆に言えば、患者さんの側に立ってジャッジしてくれるドクターは貴重な存在なのです。

インプラント治療は1本40~50万円と高額であり、顎の骨に鉄の棒を埋め込む外科処置である以上、通常の治療よりも生体へのダメージが大きく、安易に選択すべき治療方針ではありません。



そのため医師側に求められるのは、ほんとうにインプラント治療が必要か否かという率直なリスク診断であると思います。



もしインプラント治療を強く勧められた場合、すぐに契約せず、他院にて、そもそもインプラント治療が必要か否かのアドバイスをして貰うのが最善策です。

当院でもインプラント治療が必要かどうかの診察所見を率直にお伝えいたしますので、治療方針その他についてお悩みの方はお問い合わせくださいませ。

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